歴史とブランド
■松阪牛の歴史は古く、江戸時代に遡ります。当時、松阪は商業の町として栄えており、そこで飼育される牛は主に農耕用として使われていました。明治時代以降、牛肉としての価値が見直され、食肉用に改良されていきました。
■1935年に「松阪肉」としてブランド化され、その後も品質管理が徹底されることで、現在の高級ブランド牛としての地位を確立しました。
ブランド基準
■松阪牛のブランドとして認定されるためには、いくつかの厳格な基準をクリアする必要があります。まず、三重県内で生まれ育った黒毛和種の未経産雌牛であること。また、飼育期間中に特定の飼料を使用し、一定の肥育方法に従うことが求められます。
■さらに、出荷時には日本食肉格付協会の厳しい審査を受け、BMS(霜降り度)や肉質、脂肪の質などの評価基準を満たさなければなりません。
松阪牛の最大の特徴は、その美しい霜降りです。肉の間に細かく入る脂肪が、まるで大理石のような模様を形成します。この霜降りは、脂肪の融点が低く、口の中でとろけるような食感をもたらします。
松阪牛の脂肪は、豊かな風味と甘みを持ち、口どけが良いのが特徴です。この脂肪は、融点が低いため、体温で溶けるほど柔らかく、食べた瞬間に旨味が広がります。
松阪牛は非常に柔らかい肉質を持ち、噛むたびにジューシーな肉汁が溢れ出します。これは、きめ細かな繊維と豊富な霜降りが相まって実現されるものです。
松阪牛の中でも、最高ランクに位置するのがA5ランクです。このランクは、肉質や霜降り度、色沢、締まりなどの厳格な基準をクリアしたものに与えられます。A5ランクの松阪牛は、まさに極上の逸品とされています。
ステーキの焼き方
松阪牛のステーキは、そのまま焼いて食べるのが最もシンプルで美味しい方法です。肉の表面に軽く塩コショウを振り、フライパンで中火から強火で焼き色をつけた後、弱火でじっくりと火を通します。肉汁を閉じ込めるために、休ませる時間も大切です。
薄切りにした松阪牛をすき焼きにするのもおすすめです。割り下で煮込み、野菜や豆腐と一緒に楽しむことで、松阪牛の甘みと旨味が一層引き立ちます。生卵に絡めて食べると、さらにまろやかな味わいが楽しめます。
松阪牛をしゃぶしゃぶにすると、肉の旨味がダイレクトに味わえます。沸騰した出汁にさっとくぐらせ、ポン酢やごまだれでいただきます。薄切り肉ならではの繊細な食感と豊かな風味を堪能できます。
■松阪牛の炙り寿司:薄切りの松阪牛を炙り、酢飯と一緒にいただく贅沢な一品。
■松阪牛のカレー:松阪牛を使用したカレーは、肉の旨味が溶け出し、濃厚で深い味わいが楽しめます。